






数あるヴィンテージ・ロレックスのなかで、いまなお別格の存在であり続けるのが手巻きのデイトナです。発表当時は決して人気のあるモデルではなく、長くショーケースの片隅に置かれていた──その不遇の時代を知る人は、いまこの時計が立っている場所の高さに、静かな感慨を覚えるはずです。
ご紹介するのは Ref.6265/8。型番末尾の「/8」が示すとおり、ケース・ベゼルともに18Kイエローゴールドで仕立てられた金無垢のモデルです。6265 は、防水性を高めるねじ込み式のプッシャーを備えた最初期のデイトナのひとつであり、同素材に刻まれたタキメーターベゼルが、アクリルベゼルの6263とは異なる端正な表情を与えています。心臓部は手巻きの名機 Cal.727。クォーツでも自動巻でもない、「手で巻くデイトナ」の掉尾を飾る世代に連なる一本です。金無垢個体ゆえにCOSCの認定を受けており、文字盤にはスティールモデルには存在しない “Superlative Chronometer Officially Certified” の二行が控えめに、しかし確かに刻まれています。

研磨の跡が見られないシャープなラグ、その裏には18Kの刻印。ケースと同素材のソリッドなベゼルには、6263のアクリルベゼルにはないどっしりとした存在感が感じられます。

今回の主役は、シャンパンカラーの文字盤です。かつては必ずしも評価の高い配色ではありませんでしたが、金相場の高騰とともにその価値が見直されつつあること、また旧来のコレクター的価値観に捉われず時計もファッションの一部として楽しむ方がわずかながらも増えてきたことで、近年あらためて静かな注目が集まっています。温かみのある金色の地に、引き締まったブラックのインダイヤル。この対比が時計全体に一本の芯を通し、金無垢でありながら決して甘くなりすぎない──個人的にも、もっとも美しいと感じる組み合わせのひとつです。

そして、デイトナという時計の真価は、最終的に「個体」で決まります。
本作は1982年製。年式に合致した溝なしのMK2プッシャーに、MK2ベゼルが組み合わされた、すべての辻褄が合う優良個体です。パーツ点数の多い手巻きデイトナは、ひとつでも部品が入れ替われば評価が大きく変わります。だからこそ、これだけ整合性の取れた一本が市場に姿を見せることには、相応の意味があります。
夜光は脱落しやすいことで知られますが、本作はひとつも欠けることなく当時のまま。文字盤はルーペで見ても気になるダメージが一切ありません。ケースは未研磨。ずっしりとした金無垢の塊感はそのままに、裏蓋の縁を指でなぞれば、エッジが鋭く立っているのが分かります。ムーブメントには金無垢の証であるB刻印。シリアルは7始まり、内側の裏蓋刻印は6263──いずれもこの年代の正しい仕様です。

ヴィンテージという表現が違和感を招くほど、非の打ちどころのない完璧な文字盤。タイトなブレスレットには赤みがかった灼けが見られ、この個体が確かにヴィンテージであることを思い出させてくれます。

ブレスレットも18Kのリベット。このブレスレットだけでも、なんとしても手に入れたいというコレクターは多いはずです。コンディションと整合性がこれほど高い次元で揃った手巻きデイトナは、探してもまず出会えるものではありません。
派手に自己主張する時計ではありません。けれど、車や洋服、あるいは住まいなど、自身の審美眼でもって選択することを知っている方にとって、手元でこれほど雄弁に語る一本もそう多くはないはずです。袖口からのぞいた一瞬で、分かる人には確かに伝わる──その種類の贅沢を理解される方に、ぜひお選びいただきたい一本、他にない個体です。
ご関心のある方は、個別にお問い合わせください。
SPECIFICATION
| EYEWEAR | |
| SIZE | |
| MATERIAL | |
| COLOR | |
| WATCH | |
| REFERENCE | Ref.6265/8 |
| MODEL | Daytona |
| CASE DIMENSIONS | 37mm |
| GLASS | Plastic Windshield |
| DIAL | Champagne |
| MOVEMENT | Manual |
| CALIBER | CAL.727 B |
| BRACELET | FF57 7205 |
| YEAR | 1982 |
| OTHERS | |
| MATERIAL | 18K YG |
| VARIATIONS | |
| ACCESSORIES | |