2025SSでリリースされた、10eyevanのFat Platingコレクション。「美しい道具」というコンセプトを持つ10 eyevanに加わった厚メッキの仕様は、信頼性の高いチタン製のフレームにも経年変化を楽しむ余地を生み出し、その独特の色味も相まって静かな中にきちんと個性的というこれまでにない世界観を表現していました。
そんなFat Platingのコレクションから、またひとつ新しいバリエーションが入荷しました。Silver 1000の厚メッキに代わって採用されたのは、他でもないK23.7 YGです。

K18のような乾いた色味とも異なる、内側から滲み出すような独特のゴールドカラーは、決して嫌な存在感ではない渋みのあるラグジュアリー。

前回同様に今回も、ベースの素材はあくまでチタン。ベースの素材としてK18やSilver 925を採用するメーカーもある中で、眼鏡はなによりもまず道具であるというアプローチをとる10 eyevanにとっては、ある意味で当然の選択だと言えます。
そんなチタンに独自のメッキを施すことで、単なる道具にとどまらない独特のテクスチャを実現したのがこのFat Platingのコレクションです。
他にない銀白色を実現するために純度100%のSilver 1000を採用した前回に対して、今回採用されたK23.7は限りなくK24に近いオリジナルブレンドのゴールド。どこか渋みのある、10 eyevanの通常のラインでも使っていない専用のカラーです。
このような細かい仕様を追求できる環境は、実は世界的に見ても非常に限られています。メッキ工場はどうしても廃水を出してしまうことから、新しい工場に行政からの認可が降りることはほとんどなく、たとえ世界一の眼鏡メーカーでもメッキ部門は作れないと言います。そんな中、手の込んだ仕様を実現するのに付き合ってくれる工場と関係を構築するのは、決して一朝一夕にかなうことではありません。
いわゆる「ゴールドカラー」「シルバーカラー」ではない、限りなく地金と同じ色合いの高純度のメッキは、機能性と美意識の両方を妥協なく追求する10 eyevanでこそ初めて形にできたものです。

(上)エンドチップがK18仕様のものは、直営店を含めてもAFTER以外ではほとんど入荷がありません。
(下)ホワイトのシェルパッドとK23.7の組み合わせは、通常の10 eyevanと比べてもシェルの光沢がより際立つように感じられます。

静かな中にもきちんと個性的という世界観を表現したのがSilver 1000のFat Platingだとすると、今回のK23.7のFat Platingは、全てが最上にも関わらずどこまでも抑制的な世界観と言えるかもしれません。
10 eyevanのアイコンパーツのひとつであるエンドチップは、通常ラインで用いられるSilver 925ではなく特別なK18製です。本来であればより豪華な素材として存在感を発揮しそうなところですが、テンプルがK23.7メッキのためむしろこちらの方が自然だと言わんばかりにすっと馴染んでいます。
加えてシェル製のノーズパッドの素材感も、通常ラインでは無機質なチタンとよいコントラストになっていたのがK23.7と組み合わさることで、その上質な素材感がごく自然で地続きのようなものに感じられてしまいます。
10 eyevanが誕生した際のコンセプトを一切損なわずに、全てのパーツを望む限り最上のものにしながら、嫌な存在感は一切感じられないあくまで抑制的なラグジュアリー。10 eyevanのひとつの到達点と言って間違いのないコレクションです。