先日都内某所で行われたEYEVAN 7285と10 eyevanの展示会。それぞれのブランドらしさが存分に表現された新作が、2025 SPRING / SUMMERコレクションとして発表されました。
そのうち10 eyevanからは、1stコレクションのSTANDARDシリーズに新たな表面処理加工としてFAT PLATINGが、さらに4thコレクションのIV SIRMONTシリーズには、よりたっぷりとした存在感を持つBR(BOLD RIM)が追加されました。
今回は店頭へのデリバリーを前にしたプレビューとして、展示会でデザインチームからうかがったお話も踏まえて新作のご紹介をお届けします。
FAT PLATING from Standard Series
そもそも視力の矯正器具としての側面を持つ眼鏡は、洋服などと比べてもより耐久性のある素材と設計になっているため、経年変化を楽しむ余地は必ずしも多くありません。
今回新たに発表されたFAT PLATINGはその点に着目した、豊かな経年変化を楽しむためのコレクションです。レザーやリネン、またデニムと同じく身体との接触を通して生まれる変化を楽しめるように、通常の厚メッキよりさらに肉厚な6μmのメッキを、Silver 1000と24金のそれぞれでラインナップしています。
金属業界で「乾いた白色」とも言われるSilver 1000は、一般的な眼鏡のシルバーカラーとは違いすっきりとした白みが特徴です。そのため静かな印象でありながらきちんと個性的という、これまでにない独特の世界観を表現できるカラーだとデザイナーの中川さんは言います。
さらにSilver 1000では、表面の加工処理によって3つの異なるバリエーションが用意されています。純銀ならではの光沢感のあるSILVER-MIRROR、職人がヤスリを用いて微細なテクスチャを施したSILVER-SHARING、着用することで生まれる経年変化を忠実に再現したSILVER-SMOKED。デニムで言うところのリジッド、ケミカルウォッシュ、ダメージにも例えることのできる、10 eyevanのためだけに開発された3パターンの表面処理です。
24金についても厳密にはオリジナルにブレンドした23.7金を使用しているため、どこか渋みのある独特の色合いに仕上がっています。この特別ブレンドは10 eyevanの通常ラインでは採用されていません。
これらのメッキは非常に手間がかかるため、ただでさえ数の少ないメッキ工場の中でも純銀のメッキに対応しているのは日本で一社のみです。
フレームの素材と表面の加工には様々な組み合わせが考えられますが、卓越した技術によって可能になったチタンボディと高純度のFAT PLATINGとの組み合わせは、経年変化を楽しむというコンセプトにとってこれ以上ない解ではないでしょうか。
BR from Ⅳ Sirmont Series
10 eyevanの中でもIII CELLULOIDシリーズには既にラインナップのあったBR(BOLD RIM)。フレーム全体にたっぷりとボリュームを持たせた存在感のあるデザインで、10 eyevanの中でも一部の玉型のみに設定がありました。
そんなBRがⅣ SIRMONTシリーズにも新たにラインナップされました。ブローには特別に選ばれた6mm厚のセルロイドを採用したほか、1stコレクションからの特別なパーツであるチタニウムリムは、極太のブローに合わせ通常の1mmから1.4mmへと肉厚なものに変更されています。
もちろんブリッジやテンプルにもより太いパーツを採用することで、全体として強度のバランスにも優れた新たなモデルが生まれました。
さらにサングラスモデルには、10 eyevanとしては初となる特別なガラスレンズが搭載されています。
このレンズを手掛けたのは、1940年代に創業した大阪のガラスメーカー。そこの社長さんに「今まで手掛けた中で最も気に入っているレンズは何か」と聞いて出てきたのが、米国の眼鏡メーカーがかつて開発した、人間の目にとって親和性の高い波長の光を届けるレンズです。
「10 eyevanが世の中で一番いい眼鏡だと思っているから」というその社長さんの厚意もあり2カーブの両面マルチコートで復刻したこのレンズは、G3と名付けられました。
レンズの見た目は緑ですが、実際にかけるとそこまで視界が極端に色づくわけでもなく、両面マルチコートのため外から見ても目が透けて見えて、威圧的すぎることもありません。クラシックながらも現代的に格好よくなったとデザイナーの中川さんも言います。
10 eyevanに新たに追加された2つのモデルは、いずれも「美しい道具」という10 eyevanのコンセプトをより高次元で形にしたものとも言えるでしょう。メッキやレンズ、またチタンのリム線など、すべてのディテールは10 eyevanでこそ取り扱うことができたものです。
2025S/Sのコレクションは、FAT PLATINGが12月中、BRのIVシリーズが2025年3月に発売の予定です。ぜひお楽しみにお待ちください。