1930年代のアメリカンオプティカルが採用していた、ヨロイとレンズの間に2重の板バネを挟み込むフレックスストラップという構造。当時のアメリカンオプティカルのカタログにも載っているこの構造を、単に復刻するのではなくチタンを使用して現代的にアップデートしているのが、今回ご紹介するEYEVAN 7258初のツーポイントフレーム、140です。
一般的なツーポイントでは、ブリッジが単にレンズとレンズをつなぐためだけのパーツになっているものも少なくありません。しかし140では、レンズを横から支えるツカミと呼ばれるパーツをブリッジと一体化させるアプローチによって、小さなパーツの中にも凄みと説得力が生まれています。さらにパーツの細部にまで入っている柄は、マスターの金型を手彫りで作成しているため、手彫りならではの深く、独特の味のある仕上がりです。
使用に伴ってレンズの固定が緩んでくるというツーポイントの最大の弱みを克服する、フレックスストラップ。この構造によって十分な強度が担保されていることで、テンプルの付け根をレンズの上部に持ってくることが可能になっています。
またEYEVAN 7285の他のモデルと同様に、他のあらゆるディテールも機能的・意匠的に妥協がありません。
鼻パッドはチタン製で、パイプ状の柱を後ろからかしめるようにして固定されています。このような構造は、正面から見た際に必要以上に目立たないというデザイン的なメリットだけではなく、鼻筋に合わせて適度に動くことで、より多くの人が心地よく着用できるという機能的なメリットにもつながります。
テンプルはフロントに近い部分が太く四角い断面になっているのに対して、先に行くにつれ細く丸い断面になっており、強度と調整のしやすさを兼ね備えています。もちろん単に機能的なだけでなく、側面に入った細かな模様など、EYEVAN 7285らしい装飾性の高さにも目を惹かれます。
(上)かつて眼鏡がずり下がらないように、テンプルの先に石を吊るしていた時代に見られたデザイン。
(下)どんなに細かいところにも徹底的に作り込まれたディテールがあります。
これ以上のツーポイントはなかなか考えられないということもあり、EYEVAN 7285では完全なツーポイントのモデルはこれしか出していません。
僕も個人的に5年以上使っており、世の中に出ているツーポイントの中でこれが一番かっこよく、また機能的だと思っています。先日EYEVANのデザイナーの中川さんと話をしましたが、やはりこれ以上のツーポイントはなかなかないという話で一致しています。
本当にすごく好きなモデルということもあり、前職のEYEVANでは限定モデルとしてレンズシェイプを変更した155というモデルも企画しました。ボストンシェイプの140に対して多角形のシェイプが特徴の155は、デザインチームに一からレンズシェイプを描いてもらったものです。AFTERではこちらのシェイプでオーダーいただくことも可能です。
フレームカラーは全4色、ぜひ店頭でお試しください。またレンズをフラットにするとレンズが浮いたように見え、すごくかっこいいので特におすすめしています。レンズの存在感がないのがツーポイントの魅力ですが、このように徹底的に作り込まれた凄みのあるフレームの場合、あえてレンズを前に出しても決して目立ちすぎることはありません。