Rolexの数あるモデルの中で、現存する最古のペットネームであるAir-King。その長い歴史の中でもっともよく知られているのが、1950年代後半から1980年代後半まで30年にわたって生産されたRef.5500です。誕生した当時から廉価モデルという位置付けであった一方で、ロレックスがヨーロッパ大陸以外のマーケットに販路を拡大する過程では、英国向けや北米向けにRef.5500から派生した限定的なバリエーションのモデルが多く生産されました。
今回ご紹介するのはそんな派生モデルのひとつ、Ref.5504通称 “ビッグエアキング”。ディテールにいたるまで妥協のない白文字盤と、このリファレンスとしてはほとんど誰も見たことのないであろうトロピカルの2本をあわせてご紹介します。

ケース径とケース厚ともにしっかりとしたボリューム。AFTERで取り扱いの多い34mmの腕乗りの良さとはまた違った魅力のあるリファレンスです。

ビッグエアキングという名前の通り、通常34mmのエアキングとは異なる36mmのケース径が特徴であるこのモデル。1960年前後のごく短い期間にのみ北米市場向けに生産されたとされています。同じ時期には、全く同じケースとリファレンスを持つ北米向けノンクロノメーターのRef.5504 エクスプローラーも存在しています。
デイトジャストと同じく当時としては大きめのケース径でありながら、プレーンなダイヤルとベゼルが非常に端正な印象なため、デイトジャストのようなケレン味はありません。すっきりとした見た目としっかりとしたケースサイズは、通常のエアキングが物足りなく感じる方にとっても非常に魅力的な選択肢のひとつでしょう。
よく比べられるモデルとしてはAFTERでも度々ご紹介してきたビッグオイスターがありますが、希少性という点でも、またより厚みのある自動巻きのムーブメントを搭載していることでケースにボリュームがあるという点でも、似て非なる魅力を持つのがこのビッグエアキングです。

現代的なサイズ感ながらヴィンテージならではのディテールを数多く持つことで、決して単調ではない奥行きのある顔つきに。

白文字盤の一本は、この年代ならではのアルファハンドと3・6・9時位置の幅広のインデックスが特徴です。端正な顔つきながら決して地味な印象ではないのも、他でもなくこれらのディテールによるものでしょう。また文字盤の劣化の原因となる夜光がないのも長く付き合っていく上では嬉しいポイントです。
そしてこのモデルとしては周囲の誰も見たことがないと口を揃えるトロピカルダイヤル。均一に灼けた文字盤に、“Air-King”“SUPER PRECISION”のシルバーレターが映える、目の肥えたコレクターにこそ手に取っていただきたい一本もあわせて入荷しています。
エアキングならではのすっきりとした見た目に、しっかりとしたケース径とケース厚を持つ、多くの方に満足していただけるであろう一本です。
