先日都内某所で行われたEYEVAN 7285と10 eyevanの展示会。それぞれのブランドらしさが存分に表現された新作が、2025 SPRING / SUMMERコレクションとして発表されました。
今回は店頭へのデリバリーを前にしたプレビューとして、展示会でデザインチームからうかがったお話も踏まえて、新作のご紹介をお届けします。
自由な発想とそれを形にする高度な技術によって生み出されるEYEVAN 7285のコレクションの中でも、AFTERにとって特に意味のある4本をピックしました。
795
2024 S/Sモデルとしてリリースされ、時代感を捉えた提案として特に引き合いの強かったEYEVAN 7285の197。あれほどまでに人気があったのは、元来万人に似合うポテンシャルを持つオーバルシェイプが、EYEVAN 7285ならではの技巧的なアプローチによって現代的に昇華されたことが理由ではないでしょうか。
そんな197のプラスチックバージョンというイメージのもとデザインされたのがこの795です。決して懐古趣味でもなく、また時代感を意識しすぎているのとも違う。クラシックから引き出したネクストスタンダードであり、ラウンドとボストンに続く定番のひとつというのが、7285にとってのオーバルシェイプの位置付けです。
このモデルのために作製した合口メタルの洋白丁番は、削り出しの2つのパーツをロウ付けして一体化したもの。それをフロントに埋め込み、面一になるまで丁寧に研磨し、最後に金属部分にのみ電流を流す低温メッキを施しています。結果として十分な強度と確かな納得感のある、EYEVAN 7285らしい仕上がりになっています。
1004
通常であればブリッジは2本が当然であるはずのティアドロップ。それをあえてシングルブリッジにすることで、ボストンのようにかけられる絶妙なバランスのアビエイターが生まれました。
それを大きすぎないクラシックなサイズ感で自然にかけられるバランスに落とし込むのは、デザイナーの中川さんが個人的にも好むところ。展示会当日にご本人がかけていたのもこのモデルです。
デザインを仕上げるまでには非常に時間がかかったという一本は、EYEVAN 7285でなければ突き詰めることのできなかったであろうニッチ中のニッチでありながら、どなたにもおすすめできる一本です。
1008
フレンチヴィンテージの定番であるParisienの中で、ごくごく稀に出てくるセル巻きのモデルに着想を得た一本。ヴィンテージのアイウェアを扱うAFTERとも非常に親和性が高いデザインです。
かけやすいサイズ感はオリジナルのParisienと同様。さらに日本ではただ一人の職人のみが手掛けるピン留めのナイロールを採用することで、セル巻きが外れにくくまた見た目にもすっきりとした仕上がりになりました。
セル巻きの素材には発色が美しいイタリア製のアセテートと、非常に希少なデッドストックのクリアのアセテートが用いられています。特にクリアはピン留めによるシンプルさと相まって、一見するとセル巻きではなくメタルフレームに見えてしまうほどの精緻さです。
1096
EYEVAN 7285のデザインチームがリスペクトするプロダクトのひとつである、パテック・フィリップのカラトラバ。そんな最高峰のドレスウォッチからインスパイアされたモデルです。
時計のラグが眼鏡の智にサンプリングされたほか、ブリッジは尾錠を裏からのぞいたデザインとそっくりに、またダイヤルのエッジはそのままリムに引き継がれました。
加工段階においてもカラトラバならではのシャープな雰囲気を表現するため、角R0.1という鋭く角の立ったリム線を使用し、カラーごとに研磨の時間を厳格に調整して仕上げられています。
EYEVAN 7285は、製造工程において技術的な制限を設けず、過去に捉われない自由な発想を、伝統的な製法と新しい技術を組み合わせて作り上げるコレクションです。
非常に技巧的でありながら、眼鏡自体が前に出過ぎることのない絶妙なバランスは、装飾品とも工業製品とも違う、ある意味では現代の工芸品と言える位置付けかもしれません。
ここでご紹介した4モデル以外にも、非常に魅力的な多くのモデルが順次入荷しています。ぜひ店頭でご覧ください。