ヴィンテージアイウェアのトップオブトップは何か。まずはフレンチであれば、それはParisianの芯無し3ドットで間違いありません。そしてアメリカンの場合、それがTart OpticalのArnelであることも、AFTERのジャーナルをお読みいただいている方にはもはや当然のこととしてご納得いただけると思います。
そんなArnel、10年ほど前であればまだ手に入れやすかったのが、この数年で一気に物が出てこなくなりました。
サイズやカラーバリエーションが非常に幅広いこと、またその人気からフェイクも多いこと、何よりフレンチのアヴァンギャルドなどとは異なり、現代でもすっと馴染む普遍性の高いデザインであることがその理由でしょう。自分の顔に合ったサイズを、まして好みのカラーで一度手にした人にとっては、手放す理由のない言わばアガリの一本になってしまう。そのような眼鏡は他にそう多くありません。
定番でありながら、ヴィンテージのトップオブトップとして君臨するArnel。人気のカラーとサイズの一本が入荷したため、この機会に改めてご紹介させてください。
Tart Opticalはそれ以前の眼鏡メーカーとは違い、ファクトリーから始まったのではない、現在のような形の眼鏡ブランドのはしりと言える存在でした。当時のペーパースリーブにはブランドの名前がプリントされており、マスプロダクトとしていわゆるブランディングのようなことを意識していたようにうかがえます。
一方で、視力矯正器具として発展してきた経緯がまだまだはっきりと表れていたのも当時のTart Opticalの特徴でしょう。“Optical(視覚の)”というブランド名や、豊富なサイズ展開にそれを見てとることができます。
オリジナルのArnelにはレンズの幅が40mmから46mmまで存在しただけでなく、そのそれぞれに対して複数のレンズ間の幅が設定されていました。今回お取り扱いするのは44-24、日本人にとってかけやすいサイズであるだけでなく、レンズ間の幅が24mmと個人的に最も美しいと感じるサイズです。
(上)レンズ間距離を示す24の刻印。左側にはレンズサイズを示す44の刻印があります。
(下)5 3/4は、テンプルの長さをインチ表記で示したもの。フロントのサイズによってテンプルのサイズも変えていたことが分かります。
Arnelがこれほどまでに人気な理由は、何よりもその完成度の高さがあります。ことさらに気取ることのないシンプルなシェイプでありながら、クサビ型のリベットやキーホールがアクセントとなりわずかな緊張感も漂う、まさに絶妙なバランスの上で成り立つ時代を超えたデザインです。フレンチにはまずない雰囲気です。
そのデザインの普遍性の高さは、歴史が既に証明済みです。オリジナルのArnelが販売されたのは50’sから60’sにかけてですが、その後多くのブランドがArnelをデザインソースにしてきました。American Optical、MoscotのLemtosh、Oliver PeoplesのSheldrakeなど、今やそれぞれのブランドの顔となっているような有名なモデルも、その歴史を紐解けばオリジナルのArnelまで遡ることができます。
ミッドセンチュリーの名作家具や、Levi’sの501がそうであるように、その普遍性が時代を超えて受け入れられることで、後に続く同じ分野のデザイン全体を大きく方向づけてしまうプロダクトというものは稀に存在します。眼鏡の歴史においては、Tart Oprtical のArnelこそがそういった存在の筆頭というわけです。
そんなArnelも、今や容易には手に入らなくなってしまいました。単に価格が高騰しただけでなく、そもそも物が出てこなくなったことが原因です。特にBlackやAmberといった人気のカラーに、44-24や46-22などのゴールデンサイズであればなおのことでしょう。
単に希少なヴィンテージであるというだけでなく、アイウェアデザインの歴史を語る上でも非常に重要な存在です。歴史の1ピースを手元に置ける機会はそう多くありません。ご興味をお持ちいただける方、ぜひお問い合わせください。
SPECIFICATION
EYEWEAR | |
SIZE | 44◻︎24, 5 3/4 |
MATERIAL | American Zyl |
COLOR | Amber |
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