Interview

All about ZEISS LENS

これまでに様々な眼鏡や時計をご紹介してきたAFTERのジャーナル。今回は少し趣向を変えて、ZEISSのレンズをご紹介することにしました。

圧倒的なクリアさと視野の広さを持つZEISSのレンズは、AFTERで眼鏡をご購入いただく多くのお客様に選んでいただいています。またそれだけにとどまらず、一度ZEISSのレンズを知ったお客様は次に眼鏡をご購入の際も迷わずZEISSをお選びになる方がほとんどです。

多くのお客様に支持されるZEISSのレンズは他と何が違うのか。今回は特別にZEISSの日本法人本社にお招きいただき、お話をうかがうことができました。特別な対談をジャーナルとしてお届けします。


ZEISSのはじまり

– ZEISS担当者様
ZEISSが創業したのは1846年、カール・ツァイスが顕微鏡製造のための工房を設立したことがその始まりです。当時カール・ツァイスの工房で製造された顕微鏡はすぐに高い評価を受けるようになり、その後は双眼鏡やライフルスコープなど、幅広い光学製品を手掛けるようになりました。

現在では半導体関連機器や産業用測定機器また医療機器など、光学技術の最先端に立ち、多岐にわたる分野でグローバルに事業を展開しています。

– AFTER 牧野
ZEISSというとAFTERでも取り扱いのある眼鏡のレンズや、あとはカメラのレンズのイメージが強かったです。

– ZEISS担当者様
現在のZEISSはレンズだけでなく、祖業である光学事業から発展した様々な分野において研究・開発を重ね、革新的な製品を供給し続けています。

そして最先端の技術を製品化しているという点において、眼鏡レンズもまた例外ではありません。ZEISSが開発したレンズの中で、業界にとってもマイルストーンであったと言えるのが1912年にリリースしたプンクタールでしょう。これはレンズの中心以外でも焦点のあうように設計された歴史上初めてのレンズです。

これによって周辺視野でもクリアな視界が実現されたことで、眼鏡をかけている際、視線を動かすだけで視野全体を見ることが可能になりました。

– AFTER 牧野
100年以上前から、当時の最先端のレンズを作ってたんですね。


175年以上にわたって研究と開発を続けてきたZEISSは、最先端のテクノロジーにおいてはもちろん、歴史的な場面でもそのブランドを目にすることができます。

日露戦争中の1905年、東郷平八郎がロシアのバルチック艦隊を撃破した際に使用していたのがZEISS製の双眼鏡でした。のちに彼は、日本人として初めてTIME誌の表紙を飾ることになります。

NASAによるアポロ計画で、月面着陸の際に使用されたのもまたZEISSのレンズでした。無重力かつ真空という人類にとって初めての環境でも確実に動作するためにZEISSが製造したレンズは、地球帰還する際に重量を削減するため、今でも月面に残されたままです。

現代においては、Google Earthによる衛星からの画像を撮影する際に用いられているのもZEISSのレンズです。地球の表面を十分な品質と解像度で表示するためには、ZEISSの光学系だけが持つ精度とイメージング機能が必要不可欠でした。

さらにAFTERのお客様にとっても身近なところでは、ポルシェをはじめとした自動車メーカーで用いられる産業用測定機器もZEISSが供給しています。

画像提供 : ZEISS

ZEISSの眼鏡レンズ

– AFTER 牧野
前職のEYEVANで関西の店舗に勤めていたとき、当時のEYEVANでは東京の一店舗でしかZEISSを取り扱っていなかったんです。けれどもZEISSのレンズはファンが多くて、ZEISSのレンズを使ったことのあるお客様は次もZEISSがよいとおっしゃるんですね。それに対してZEISSは取り扱っていないとお伝えするのが悔しくて、EYEVAN全体でZEISSを取り扱うようにしました。

そういった経緯もあって、独立してオープンしたAFTERでは初めからZEISSを取り扱っています。

– ZEISS担当者様
おっしゃる通り、ZEISSのレンズには本当に多くのファンがいらっしゃいます。そのみなさまが口を揃えておっしゃるのが、ZEISSは明らかに見え方が違う、クリアで視野が広いという点です。

– AFTER 牧野
本当にそうですよね。

– ZEISS担当者様
ZEISSのレンズの何が特別なのかについては、人に言わせればコーティングの反射が少ないからだとか、あるいは素材自体がクリアだからだとおっしゃる方もいます。しかし当然それだけではなく、それらをはじめとした様々な要素が組み合わさることで、より自然な光が網膜に届くよう設計されているというのが実際のところではないでしょうか。

その中でも特に、1. 度数精度、2. レンズの面精度、3. 低反射コーティングの3点は、ZEISSの明確な特徴としてご紹介できる点だと思います。

– AFTER 牧野
なるほど。


1. 度数精度

– ZEISS担当者様
まずはレンズの度数精度についてです。社内では首から上のZEISSと言われることもあるように、ZEISSでは様々な医療機器を製造しており、特に眼科、歯科、脳外科からもっとも信頼されるメーカーのひとつであると自負しています。

これらの医療機器で測定されたデータは、個人情報を匿名化したのちにZEISSにも共有されています。そのためZEISSは眼球についての膨大なデータを所持しています。そのデータの中には、例えば近視であれば角膜の何ミリ内側で眼球が回転するのか、また垂直方向と水平方向に眼球を動かす場合ではその回転の中心点がややずれるといった情報も含まれています。

画像提供 : ZEISS

そういったデータを用いて正確にシミュレートされた眼球情報を元に、レンズに計40,000ポイントをプロットしてそれらをなめらかに繋ぐことで、より自然な光が網膜に届く度数設計が可能になります。

またこの度数設計データは日本国内では作ることができないため、日本国内から発注されたレンズの度数情報は一度ドイツ本国に送られ、そこでスーパーコンピューターを用いることで完成します。


最先端の医療機器と眼鏡用レンズの両方に携わる唯一のメーカーであるからこそ可能な、世界最大規模のデータベースに基づいて構築したアイモデルと、それを設計に応用したレンズ。これらは理想的な眼鏡用レンズを設計する上で避けては通れない第一歩目であり、特にZEISSが強みを持つ工程です。


2. 面精度

– ZEISS担当者様
さらにその度数設計データを、実際のレンズの製作工程に正確に落とし込むこともZEISSが得意としている分野です。

ZEISSで眼鏡レンズを製作する際は、先ほどご説明したように40,000ポイントをプロットして設計されたデジタルサーフェスとも呼ばれる複雑な3次元曲面にレンズを削り出すため、最先端のフリーフォームという研磨技術が用いられています。現在では多くのレンズメーカーで採用されているフリーフォームですが、そのための機械の開発に当初から関わり、フリーフォームの技術を眼鏡レンズとして初めて製品化したのが他でもないZEISSです。

あらゆる曲面を自在に削り出すことのできるフリーフォームの技術ですが、そのために必要なデータの作り方など、実際の製品開発の過程で積み上げられた知見があってこそそのポテンシャルを最大限に生かすことができます。そういった点においても、ZEISSはトップの経験と技術を持つメーカーです。

– AFTER 牧野
あとはレンズのカーブですよね。ZEISSはレンズカーブを柔軟に指定することができるので、元々フラットレンズが入っているフレームにも、眼鏡のデザインを損なわずにそのままフラットレンズで度を入れることができます。


現在では各社が最高級レンズとして展開している、一人ひとりの顔の特徴や使用するメガネフレームに合わせてオーダーメイドで設計されるインディヴィジュアルレンズ。2000年の世界で初めて発売したのが他ならないZEISSです。


3. 超低反射コーティング

– ZEISS担当者様

また、超低反射コーティングもZEISSレンズの特徴として挙げられます。ZEISSのレンズコーティングの歴史は古く、もっとも早くカメラレンズにコーティングを施したのがZEISSでした。現在ZEISSで用いられているDuraVision Plutinumコーティングは、反射率1%以下という世界一の低反射率を実現しています。

– AFTER 牧野

他社のレンズの反射光は緑色がほとんどの中、ZEISSのレンズは青色の反射光が特徴ですよね。

– ZEISS担当者様

はい。反射光の色味はコーティングの匙加減でいくらでも自由に作れますが、あくまで世界一の超低反射率を実現する中で、結果として他社とは違う青色の反射光になっています。

– AFTER 牧野

ZEISSのレンズは外から見ても一目でそうと分かりますね。あとはレンズに入る刻印、これもZEISSは他社と比べて一際はっきりしているように思います。

– ZEISS担当者様

レンズに自社の刻印を入れるのはどのメーカーもやっていますが、ZEISSではレーシック手術にも使用されるエキシマレーザーという特殊なレーザーを使って刻印をしています。一見無意味にも思えるこだわりですが、レンズを染色した際に色だまりが生じにくいことや、刻印部分からコーティングが剥がれることが避けられるというメリットがあります。

さらにエキシマレーザーは刻印の深さを正確にコントロールできるため、外から見た際には一目でZEISSの刻印が判別できますが、眼鏡をかけているご本人の視界が刻印によって遮られることはありません。

機器自体が非常に高価なこともあるため、この刻印も医療機器を自社で開発しているZEISSならではの特徴だと思います。

– AFTER 牧野

知っている人が見ると外からでもZEISSレンズだと分かるのは、ファンにとっては実は嬉しいポイントだったりもします。それも全て最高のレンズを作る過程で生まれた特徴だったんですね。


正確に設計されたレンズは、世界一の低反射コーティングを施されることでより明瞭な視界と日常生活での耐久性が実現されます。そして独特の青みを帯びた反射光と外からははっきりと見えるZEISSの刻印は、控えめながら外から見ても分かるZEISSレンズの数少ない特徴です。


ZEISSと眼鏡店

– ZEISS担当者様

最先端の研究開発と高度な生産工程によって形になるZEISSのレンズですが、お客様のお手元に届くためには、最終的に眼鏡店様で加工・調整され、眼鏡の形に仕上げていただいています。

そのためZEISSとしても、眼鏡店様とは単にメーカーと小売店というよりはビジネスパートナーとして中長期的なお付き合いができればと考えています。短期的な売上のためのビジネスではなく、一度ZEISSのレンズに満足していただいたお客様が、次に眼鏡を作るときも同じ眼鏡店でZEISSのレンズを入れようと思っていただける、そういった継続的な3者の関係を理想としています。

特に日本国内のマーケットでは、多少高価でも良いものをお求めになるお客様に向けて、高機能かつ高価格なレンズに絞って展開しています。

– AFTER 牧野

AFTERで取り扱う眼鏡には10eyevanやEYEVAN 7285、またヴィンテージがありますが、いずれもそれぞれの意味で、他に代わりの効かない眼鏡だと言えると思います。

そういった眼鏡を選んでいただけるAFTERのお客様には、そのフレームに合わせるレンズについても、代わりの効かない最高品質のものを選んでいただければと考えています


最先端の研究・開発から生まれたZEISSの眼鏡レンズ。その革新の歴史は100年以上に及び、当時から現在に至るまで、業界のスタンダードを切り拓き続けています。その品質の高さ、圧倒的なクリアさと視野の広さは、ZEISSのレンズでしか手に入れることができません。

また機能性の追求の結果生まれた、青みを帯びて独特の反射光やさりげないながらもはっきりと分かるZEISSの刻印は、機能性だけではない満足を与えてくれます。

AFTERで眼鏡をお作りの際は、ぜひフレームだけでなくレンズについても、最高品質のものを選んでいただけるよう自信を持ってお勧めしています。クリアレンズだけでなく、カラーレンズから調光まで、幅広いラインナップからご希望のZEISSレンズをご提案させてただきます。

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