Vintage Eyewear

30’s Tortoiseshell Oliver Goldsmith

ヴィンテージの中でも主にフレームフランスを多く取り扱うAFTERとしては、異色のピースが入荷してきました。フロントの2ドットとテンプルの3ドットの組み合わせからもお分かりいただけるようにイギリス製の一本です。

素材は鼈甲、年代は1930年代、製作したのは初代Oliver Goldsmith。ヴィンテージのアイウェアとしては最高峰のひとつと言っていいスペシャルな一本を、webサイトのリニューアルに合わせてご紹介いたします。

極端なまでのハイブリッジに独特の玉型の、いかにもロンドンらしさを感じさせるフロントデザイン。

フロントの2ドットとテンプルの3ドットの組み合わせは、イギリス製のヴィンテージにのみ見られる仕様。EYEVAN 7285でもイギリスらしいテイストを出したい場合にとることのあるアプローチです。

鼈甲は、ウミガメの一種であるタイマイの甲羅を重ね合わせて生まれる素材です。奥行きのある色合いとしっとりとした艶をもつだけでなく、タンパク質を主成分とすることから肌あたりがよく、また破損しても熱を加えて圧着することで修復が可能なことから、眼鏡の歴史の中でも常に最高級の素材として使用されてきました。

1926年にロンドンで創業したOliver Goldsmithは、一人一人の顧客にハンドメイドの鼈甲フレームを製作することからスタートしたブランドです。

同じく鼈甲を用いてOliver Goldsmithが製作したアイウェアとしては、今回ご紹介する一本とほとんど同じデザインのものが、イギリスの国立博物館V&A Museumに収蔵されています。このことからも、単なるヴィンテージを超えたヒストリックピースに近い存在であることがご理解いただけるのではないでしょうか。

音符のようにも見えるテンプル先端のデザインは、当時のOliver Goldsmithのテンプルのバリエーションのうちのひとつ。

慣れた人であれば、着用時にテンプルの先が耳の上を滑る感覚で素材が鼈甲であることが分かると言います。

デザインの面では、細身のものが多い当時の眼鏡としてはかなりのボリュームがあることも特徴です。現代的なファッションと合わせても、全く違和感なく着用いただけるのではないでしょうか。

また作りにおいても、その精度の高さはとても100年近く前のものとは思えないほど。テンプルと一切の段差なく研磨された蝶番は、ガタつきや軋みもなく非常にスムーズに開閉し、非常に良いコンディションを保っています。

テンプルと同じ幅をもたせ、十分な強度が担保された蝶番。角が丸められ表面が研磨されている丁寧なつくりからも、特別な顧客に向けてハンドメイドされたものであることがうかがい知れます。

先日の海外への買い付けの際、40’sのヴィンテージにばかり興味を持っていることを察したディーラーが奥から出してきた8本入りの箱の中でも、明らかに他とは違う存在感を放っていたのがこの一本でした。

価格も決して安くはありませんが、素材が鼈甲であること、また1930年代に初代Oliver Goldsmithがハンドメイドで製作したものであることを踏まえると、特に眼鏡を好きで知っている方であれば、必ずしも高過ぎることはないと思っていただけるのではないでしょうか。

次の入荷はまずないと言っていい、ヴィンテージを超えたヒストリックピースです。ぜひ店頭にてご覧ください。

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