ウェリントンやボストンなど定番のシェイプがある中で、見れば見るほど不思議なシェイプのサングラスが、今回紹介するEYEVAN 7285の770です。ウェリントンらしい角張った印象がありながら、レンズ自体はしっかりと丸みがついているので、ウェリントンしか/ボストンしか普段かけないという方にもはまりやすい独特のシェイプですね。
やはりEYEVAN 7285だけあってディテールの作り込みは徹底的で、鼻パッドはチタン製で、通常のねじ止めではなくカシメという方法で固定されています。鼻パッドは正面から一番よく見えるパーツの一つですが、カシメにすることで薄くシンプルに、本当に美しく仕上がっています。
フロントとテンプルをつなぐ智と呼ばれているパーツも、完全にオリジナルの型を用いて唐草紋様を刻印して、さらに同じ模様が裏側にも刻印されています。このパーツは正面から見ると一本のリベットで止まっているように見えますが、実は裏側からもう一本、マイナスのネジで固定されています。こうすることで、デザインはそのままにより強固に固定することが可能になります。
やじりの形の智は単なる飾りのためだけのパーツではなく、十分な強固さを兼ね備えています。
鼻パッドの裏は通常だとねじ止めに必要なボックスパーツがつきますが、これがないだけでここまで洗練した仕上がりになります。カシメで留めるこの方法は、ヴィンテージのアイウェアにも用いられている方法です。
さらにすごいのはレンズがガラス製なことです。カラーのレンズは一色ごとに大量のロットを抱えなければいけないので積極的に作りたがるブランドは少ないのですが、EYEVAN 7285ではモデルごとに、何色ものガラスレンズ揃えています。
ガラスは透明度が圧倒的に高いので、特に海外の方だと絶対にガラスレンズがいいという方も少なくないですね。また眼鏡を手に持ったときの心地よい重みも、ガラスレンズでしか味わえない特徴のひとつです。
これらのディテール全てに、福井の職人さんの最高の技術が詰まっています。こういうアプローチはヴィンテージでは見られません。
テンプルの裏側には透明の生地が貼られており、緻密な彫りが施された芯が透けて見えるようになっています。
とにかくディテールの作り込みがすごいEYEVAN 7285ですが、必ずしもそれを前面に出したいわけではないので、むしろ外側はミニマルに仕上がっています。ぱっと見はシンプルだけど、家に帰って見れば見るほど気付くことが多いため、ご購入いただいたお客様が後日になってディテールに気づいていただくこともあります。
誰にでも似合いやすい独特のシェイプと悪目立ちしないシンプルさを持ちながら、目立たない部分も徹底的に作り込まれている、日常的に長く使える一本だと思います。