Ref.6466 Oyster Date

Feb 9

イギリスからおもしろい一本が届きました。アラビア語のギャランティーがついた、フルセットのRef.6466。31mmという小ぶりなボーイズサイズだからこそ様々な楽しみ方の可能性が感じられる、“パーペチュアル”の名前がつかないオイスターデイトです。

アラビア語のギャランティーが示す通り中東で販売された個体なだけあって、強い紫外線にさらされ続けたことを思わせるはっきりとしたトロピカルダイヤルに仕上がっています。

そのスペシャルなダイヤルからのぞくのは、赤と黒の日付表示が交互に並ぶカレンダー。普通であればOHによって全て黒文字のものに交換されてしまっているはずの、非常に希少なディテールのひとつです。

(上)アラビア語のペーパーとギャランティー、さらにオリジナルのタグとボックスが揃ったフルセット。
(下)一目でそれと分かる赤文字のカレンダーは、トロピカルのダイヤルやイエローゴールドのインデックスとも非常に好相性。オリジナルのアルファ針とシングルSWISSの表記も当時のままです。

ブレスレットは、当時のRolex向けサプライヤーのひとつであるWAB社製のものがついています。本来Rolexの王冠マークがある位置にWABのマークが入っている点は、他のサプライヤーには見られない、WAB社製のブレスレットにのみ見られる珍しい特徴です。

中東市場向けに販売された個体に、一目でそれと分かるイングランド製のブレスレット。たまたまとはいえ、イギリスが中東にその影響力を強く及ぼしていた、当時の時代背景が想起される組み合わせではないでしょうか。

さらにこのブレスレットはストレートエンドになっています。ラグとの隙間から腕がわずかにのぞくことで、ブレスレットまで一連になった一本の時計というよりはむしろ、ヘッドだけが浮き出たような独特の印象です。

小ぶりなサイズでありながらしっかりとした厚みがあるため、実際に着用すると意外なほどの腕馴染みの良さが感じられます。ヴィンテージらしいリベットブレスレットも相まって、小気味の良いアクセサリーのような印象です。

はっきりとしたトロピカルダイヤルにオリジナルのアルファ針、赤黒のカレンダーディスクとWAB社製のリベットブレスレット、そしてなによりアラビア語のギャランティ。

このRef.6466は多くの魅力がありながら、ボーイズサイズであるという一点によって、非常に難しい立ち位置になっています。確かに一般的に言ってこのサイズの時計は、身に着ければ誰でもすぐにさまになることはないかもしれません。

しかしその絶妙なサイズ感だからこそ、例えばCartierのタンクなどのように、腕時計というよりはむしろ気の利いたアクセサリーとして、より気軽な向き合い方が可能になるのではないでしょうか。

そしてその気軽なはずのアクセサリーが、赤文字の日付表示をのぞかせたトロピカルダイヤルであるというコントラストこそが、底の知れないセンスを静かに主張するはずです。

サイズ感が万人向けではないことから、価格も高過ぎるということはありません。ヴィンテージを愛する方のとびきりトリッキーな遊びの一本として、また人と被ることはまずないであろうファーストロレックスとして、ぜひ手に取ってみてください。