Model 352, Masterpiece Rebuilded

Jan 16

これまでEYEVAN 7285からはいくつかのモデルをご紹介してきましたが、今回は特に、ブランドを象徴するオリジナルのパーツに焦点を当てることができればと思い、2024SSコレクションからアイコニックな一本をピックアップしました。

車や時計の世界においてもそうであるのと同様に、眼鏡の世界にも名品と呼ばれるモデルが存在しています。そして今回ご紹介するModel 352の元となったのは、時の大統領の名前で呼ばれるFDR。アメリカンヴィンテージアイウェアの世界におけるひとつの傑作と言って間違いのない一本でしょう。

オリジナルのFDRは3ドットとフラットなトップライン、そして迫力のあるワイドテンプルが特徴の、確かに目をひく一本です。しかしこの名作を実際にかけたいと思うと、オリジナルはあまりに数が少ないため現実的ではなく、また単なる復刻も面白みに欠けるというのが正直なところだと思います。

7285のパーツを使って現代的に再構築されたFDRが存在すれば納得してかけられるのに、そう考えていたタイミングでリリースされたのがこのModel 352です。オリジナルへの敬意と独創的な解釈が同居する新作をご紹介します。

FDRの特徴であるフラットなトップラインはそのままに、7285らしくわずかに丸みが加えられています。眼鏡だけが前に出ることなく自然とかける人の顔に馴染む、EYEVAN 7285らしいデザインです。

形とサイズはオリジナルのFDRに忠実ながら、そのディテールにはEYEVAN 7285にしかできない緻密なアプローチが潜んでいます。

FDRでは3ドットで表現されていたフロント部分のかしめは、Model 352では縦型のサンプラチナのかしめに変更されました。このパーツはEYEVAN 7285を象徴するアイコンパーツのひとつで、決して単なる飾りではなく、裏まで貫通していることでヒンジをしっかりと固定しています。

サンプラチナは非常に硬く加工難度の高い素材ですが、丁寧な研磨を施すことで、フレームの表面と一体になるように仕上げられています。

テンプル部分のかしめを3ドットとしたのはオリジナル同様ですが、よく見るとひとつだけピンの太さの違う、言わば2+1ドットというEYEVAN 7285ならではの構造になっています。こうすることで、蝶番の裏側のパーツをより引き締まったサイズで設計することが可能になりました。

オリジナルの3ドットは全てが同じ太さで、蝶番の裏側もぼってりと膨らんだ形になっています。これはヴィンテージのアイウェアとしては魅力的なディテールのひとつに間違いありませんが、そこに必ずしも現代的な洗練があるとは限りません。

ヴィンテージに着想する以上、現代でこそ可能な技術やデザインによってオリジナルを超えなければいけないという、EYEVAN 7285の思想が垣間見られる部分です。

フロントとテンプルが接する合口には、オリジナルの金具を挟んでいます。こうすることで、使用に伴ってテンプルが左右に開いてくることを防止できるだけでなく、デザインの幅を大きく広げることにもつながります。合口の縁には、テンプル側にのみ微細な彫金が入っています。

またこの蝶番はかしめの方法だけでなく、裏側のデザインにも大きな特徴があります。

シルバーの台座にゴールドのパーツを重ねることで強度を出す構造は、ヴィンテージのフライトジャケットのMA-1のジップに着想を得たもの。EYEVAN 7285ではミリタリー蝶番と呼称され、他にも多くのモデルで採用されています。このように眼鏡に限らずさまざまなデザインソースから直接にインスピレーションを受けているのも、EYEVAN 7285ならではでしょう。

さらに鼻パッドも完全にオリジナル。ヴィンテージによく見られながら、必ずしも万人の鼻筋にフィットするわけではないフロント一体型の鼻あてとも、柔軟な調整が可能ながら、大きく目立つねじ部分が美観を損ねるクリングスパッドとも違う、他には見られない独創的な構造になっています。

オリジナルの型を使ってチタンで製作された鼻パッドを、ネジを使わずに固定することで、幅広い人の鼻筋に合わせた調整と、どこから見ても美しく洗練された設計の両立が可能になりました。

ヴィンテージの単なる復刻ではなく、現代的な着想とアプローチでオリジナルを超えていく。そんなEYEVAN 7285のアプローチが、ブランドを代表するアイコニックなパーツと、押すに押されぬ歴史の名作とによって形になったのがModel 352です。ぜひ店頭にてご覧ください。

今回AFTERでは、サングラス仕様のモデルと眼鏡フレーム仕様のモデルの両方を取り揃えました。
特にサングラスに用いられるのは、浅めのカーブとオリジナルのカラーが特徴のトップレベルのクオリティのガラスレンズです。オリジナルのガラスレンズは生産に必要なロットも単価も大きいため、わざわざコストをかけて作っているブランドは他にありません。