Ref. 1002 in 9K Mirror

Nov 9

ヴィンテージロレックスの中でも入門機に位置付けられるオイスターパーペチュアル、Ref.1002。日付表示のないシンプルでバランスの取れた文字盤に、Rolex社製ムーブメントの中でも精度と耐久性が高く評価されているCal.1570、そして着用する人を選ばない34mmの絶妙なケースサイズの、もっともベーシックなモデルです。

しかし、そのもっともベーシックなはずのモデルが他にないスペシャルなディテールを持つとどうなるでしょう。それが今回ご紹介する、瑞々しいまでのミラーダイヤルに9Kイエローゴールドのケースの一本です。

美しい艶を持ったミラーダイヤルは、ほとんど完璧と言ってもいいコンディション。シャープな印象のドルフィンハンドやコフィン型のインデックスと非常に好相性です。

ケースは特に珍しい9Kイエローゴールド製です。Rolexで通常用いられるゴールド素材は18Kか14Kがほとんどで、9Kを見たのは個人的にもこれが初めて。素材自体の希少性に加えて、経年による美しい金焼けもヴィンテージならではの味わいに仕上がっています。

ミラーダイヤルに金無垢のケースの組み合わせは一見するとギラつき過ぎているようにも感じられますが、実際に手に取ってみると決してそうは感じさせません。それはきっと、時計だけが前に出ることのない34mmというサイズ感や、そのシンプルさによって引き立て役に徹するドーム型の風防が、派手なディテールと絶妙なコントラストになっているからに違いありません。

ベゼルから滑らかにつながる風防は、時計本来の持つ魅力を最大限に引き出しています。
ベルトはブラックのクロコダイルを合わせてご提案しています。ここまでしてもなおやり過ぎにならないことが、この一本の懐の深さを端的に表していると言えるでしょう。

究極の実用時計というRolexの一側面を象徴するようなモデルにも関わらず、そのディテールによって他にない役物感をまとった稀に見る一本。これみよがしにひけらかすのではなく、Tシャツにジーンズのような普段着に身に着けてこそ滲み出る魅力は、身に着ける人の審美眼を静かに物語っています。