今回ご紹介するのは、いずれも魅力的なカラーの3本のクラウンパント。玉型とフレームの外形が大きく異なった、いかにもフレンチ・ヴィンテージらしいフロントデザインを持つ、王道中の王道と言って間違いのないモデルです。
切り取られたようにも見えるフロント上半分が王冠(Crown)のように見えることから、下半分のパントシェイプと合わせてその名前の由来となっているクラウンパント。迷いのない直線的なカットや盛り上がったブリッジ、さらにキーホールといったディテールによって締まった印象を受ける上半分に対して、曲線的で脱力感のある下半分が大胆なコントラストを演出する、時の洗礼を経てなお新鮮さを失わない不朽のデザインです。
フレンチ・ヴィンテージの中でもっとも重要な位置付けにあるクラウンパントのデザイン。2ドットのカシメピンや角張った置き蝶番など、いくつものヴィンテージらしいディテールを備えています。
さらに今回の3本はいずれも、40年代に製作されたテンプルに芯の入っていないモデルであるため、透明感のあるヴィンテージのセルロイドならではの質感を存分に楽しめます。
澄んだ水のように透き通ったクリアは、濃い色のレンズとも好相性の一本。幅広のテンプルや、コンパクトなサイズの多いフレームフランスには珍しい大きめのフロントサイズも特徴です。
人気のTurtoise(鼈甲)カラーは、アセテートとは全く違う、40年代当時のセルロイドでしか出せない色味とテクスチャーが特徴。セルロイドならではのトロミが3本の中ではもっともよく出ています。
一見すると派手に見えるローズは、実は何にでも合う万能カラー。特に日本人の肌色にとても馴染みがよいため、かける人を選びません。見る角度によって変化する絶妙な濃淡が魅力的です。
生地が透明であることで、芯が入っていないことが一目瞭然です。王道中の王道であるクラウンパントのデザインと相まって、一目見ればヴィンテージであることが分かります。
クラウンパントという形自体は昨今のヴィンテージ人気に後押しされてさまざまなメーカーが作るようになりましたが、やはりオリジナルでなければここまでの迫力を出すことはできません。
当時のセルロイドならではの生地の色味や質感はもちろんのこと、ハンドで仕上げているからこそのエッジの立ち方や丸みの出方などはオリジナルでこそ。小綺麗で工業製品然とした現行の眼鏡とは違う、誰もが一目見て分かる独特の雰囲気があります。
王道中の王道であるからこそ、語ることは多くなくとも、実際に手に取ることで初めて伝わるすごみのあるモデルです。フレンチ・ヴィンテージをやるのであれば避けては通れない一本を、ぜひ来店予約の上、店頭でお手に取ってお試しください。