Interview

Opening Interview 02

— フランス製とアメリカ製のヴィンテージを取り扱うと聞いています。まずはフランス製について教えてください。

フランス製の眼鏡がスタートしたと言われている頃の、テンプルに金属の芯が入っていないものから、テンプルに芯が入り出した頃までのものを中心に取り扱おうと思っています。

時代としては40年代から50年代、素材にはフレンチセルロースと呼ばれている樹脂が用いられた、いわゆるフレームフランスと呼ばれている眼鏡ですね

— フレームフランスにはどのような特徴がありますか?

見た目が明らかに違います。生地の厚みがしっかりしているし、エッジもすごく立っていて、もちろん細部も驚くほど作り込まれています。現在だとハンドメイドといってもかなり工程でマシンを使いますが、当時は文字通り一本一本ハンドメイドだったわけです。そのためヴィンテージは一眼見てそうと分かります。

あとはフランス人に向けて作っていたわけなので、フランス人は顔の横幅が小さい分、眼鏡も小さく仕上がっています。これはアイバンのデザイナーの中川もそう言っていますが、僕はどんなものでも小さい方が美しいと思っていて、その点についてもフレームフランスは魅力的ですね

— アメリカ製についても教えてください。

眼鏡が生まれてすぐの時代、眼鏡が本当に高級品で一部のお金持ちしか作れなかった、20年代頃のヴィンテージを取り扱います。

当時の眼鏡は、今のようにたくさん作って店頭に並んでいるのではなく、ひとつずつビスポークで制作されていました。そのため日用品というよりはジュエリーと同じような感覚でデザインされており、金属への彫りもしっかしているし、ひとりひとりに合わせて制作する分、やっぱりサイズも小さいんです。そのメタルフレームが僕はすごく好きですね。

素材にはホワイトゴールドメッキの合金が用いられています。もちろんメッキとは言っても、いわゆるゴールドフィルドと言われるような、かなり厚みのある膜になっているため、ほとんど100年前のヴィンテージでも、表面のメッキが剥げたりしていることはほとんどありません。

さらに鼻パッドだけは、腐食しないように無垢のホワイトゴールドが用いられています。こういう当時のものならではの特徴は、現在のメガネと比べても味わい深さが全然違います

— 現行のメガネとヴィンテージの眼鏡、それぞれどのようなお客様にご提案していきますか。

特にEYEVANの頃からのお客様には、ヴィンテージの良さは絶対にお伝えしたいと思います。僕はこれまでサイズにこだわるように言ってきていますが、ヴィンテージを選択肢に入れることで、さらにサイズ感を突き詰めてもらうことができると思っています

逆にヴィンテージが好きな人には、EYEVAN 7285と10 eyevanを試してもらいたいですね。現行の眼鏡ではまず見ないような徹底的な作り込みや精度の高さ、かけ心地の良さには、ヴィンテージとはまた違った意味での驚きを感じてもらえると思っています。

唯一ヴィンテージを超える可能性のあるEYAVANのクリエイションと、現行には絶対にない味わい深さを持つヴィンテージの眼鏡を、それぞれがお互いを補い合う形でご提案していこうと思います。

牧野弘生

2011年 株式会社アイヴァンリテーリング入社
2012年 EYEVAN大阪ギャラリー&EYEVANバーニーズニューヨーク神戸店 店長
2016年 Oliver Peolples大阪 店長
2017年 EYEVAN 7285 Tokyo 店長 EYEVAN 7285 & 10 eyevanの数多くのFlagship・別注を手掛ける。
2023年 独立、AFTERをオープン

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