Interview

Opening Interview 03

— どのような時計をお取り扱いになるのかと、その魅力について、簡単に教えてください。

ヴィンテージのCartierとRolexを中心に取り扱っています。ヴィンテージの時計は現行で作られている時計と比べてもサイズの小ぶりなものが多いので、見た目にも独特の凝縮感がありますよね。

RolexのサブマリーナーやCartierのタンクのような定番のモデルは、それこそ何十年も前から現在まで、デザインに微妙な変更が加えられながら作られ続けています。

そういう定番モデルはもちろん現行でも買うことができますが、あえてヴィンテージを目を向けることで、定番モデルが生まれた頃のデザインを実際に手に取っていただければと思っています

— 牧野さんご自身が初めて買った時計について教えてください。

25歳のときに買ったRolexのサブマリーナー、Ref.16610です。当時の職場の人がみんなRolexを着けていたので、ふと思い立って仕事に行く前に時計屋さんに寄って、そのときの現行品を中古で買いました。

— 一本目は特にヴィンテージということではなかったんですね。

そうです、その当時はヴィンテージがどうといったことは全く考えていなかったですね。結局そのサブマリーナーは10年近く着け続けました。

その後、一本目を手放して新しく買ったのがRolexのGMTマスターです。Rolexだとリファレンスが4桁のモデルがいわゆるヴィンテージと呼ばれているのですが、そのときに購入したのはRef.1675でした。

今でこそ細かいバリエーションに対する知識もありますが、当時は周囲に誰も教えてくれる人がいませんでした。そんな中、たまたま電車で乗り合わせたおじいちゃんが同じモデルを着けていて、それがすごくかっこよくて「これを買わないと」と思って(笑)

あと僕はラルフ・ローレンがすごく好きなので、彼がヴィンテージのRolexやCartier、Paneraiなどを集めていることもあり、やっぱり自分もそういうものが欲しいなとは思っていました。

— でもそのGMTマスターについていたのは交換用文字盤だったんですよね?

だったんじゃないかと、今では思っています。同じ文字盤でもオリジナルと交換用があるのを、当時はまだ知らなかったんです

ただ当時は雰囲気だけで気に入っていたので、赤青のベゼルは魅力的だし、いい感じによれたジュビリーブレスも、いかにも経年を感じさせる夜光もかっこいいと思っていましたね。

そこからは先は猛勉強を重ねて、ネットや雑誌で情報収集をするだけでなく、ちゃんとしたお店に行って、実際に手に取って見せてもらうようになりました。特に実際にお店に行くようになったのが、ヴィンテージに詳しくなる過程で大きかったと思います

GMTマスターを買って以降は、買っては手放しを何度も繰り返して、もうこれまでに何本買ったのかも覚えていないくらいです。その経験を通して、パーツのオリジナリティや年代の整合性についても詳しくなりました。

— ヴィンテージウォッチはムーブメントも古いものだと思いますが、その点について、AFTERでどのように扱っていきますか。

お店で取り扱う時計のメンテナンスは、自分がヴィンテージの時計を買うようになった当初からお世話になっている職人さんに任せようと思っています

2本目の時計としてRef.1675を買った当時、通勤の途中でいつも目にしていた、やっているかも分からない古いお店があったんです。古いお店だからヴィンテージも置いているかもと思って、勇気を出して入ってみるとその職人さんが出てきたんです。

そこで「これから時計に詳しくなりたい」ということを伝えると、裏からいろんな時計を出してきてくれました。その方は15歳の頃からずっと時計の修理だけをしてきたそうで、修理の腕も早さも確かです。だいたいオーバーホールを3日であげてきますからね(笑)

その彼には本当にたくさんのことを教わりましたし、彼がいたからこそ様々な時計を手にしてこられた部分はあると思っています。

— メンテナンスについてはその職人さんに安心して任せられたんですね。

一般的にヴィンテージの時計を購入する場合は、パーツのオリジナリティや年代の整合性はもちろん、ムーブメントのコンディションにも気を配る必要があります。

でも僕の場合、その職人さんが確実にメンテナンスをしてくれるという安心があったので、普通だと手を出せないような状態の個体も含めて、たくさんの時計を買う経験ができました。

その経験と、メンテナンスについても責任を持って対応できるという安心が、お店で時計を扱うことにもつながっています

— ヴィンテージの時計を買う上で特に大事な点について教えてください。

まずはパーツのオリジナリティと年代の整合性、ここがきちんと判別できていることは絶対に重要ですね。

その上でAFTERでは、特に年代の整合性がとれている個体だけを取り扱おうと思っています。もちろんパーツの年代がずれていることも含めてご説明し販売することも可能ですし、やっているお店もたくさんあります。

でも自分もそうだったのですが、そういう個体は結局、ご購入いただいたお客様が後から満足できなくなってくると思っています

あとは古いムーブメントどこまで確実にメンテナンスできるかも重要ですね。これについては先ほどの信頼できる職人さんがいることが、お店としても強みになるだろうと考えています。

— AFTERで扱う時計はどんなラインナップになりそうですか?

AFTERでは、なるべくファッションと親和性の高い、時計だけが勝手に前に出ることのないようなものをご提案できればと思っています。

そういう意味では厳選された、お店として責任を持ってご提案できるものだけを置くことになるので、本数だけで見ると他のお店よりかなり少なめになるかもしれません(笑)

でもその分、例えばサイズ感などの細かい部分まで、きちんとこだわって選んだ個体だけを揃えています。その点はご購入いただくお客様にも、確実に満足していただけるだろうと思っています。

牧野弘生

2011年 株式会社アイヴァンリテーリング入社
2012年 EYEVAN大阪ギャラリー&EYEVANバーニーズニューヨーク神戸店 店長
2016年 Oliver Peolples大阪 店長
2017年 EYEVAN 7285 Tokyo 店長 EYEVAN 7285 & 10 eyevanの数多くのFlagship・別注を手掛ける。
2023年 独立、AFTERをオープン

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